社交不安障害(SAD)の治療
人前で極度に緊張してしまう。それは「社会不安障害(社交不安障害)」かもしれません。
「人前で話すと、声や手が震えてしまう」
「注目されると頭が真っ白になる」
「人に変に思われるのではないかと不安で仕方がない」
こうした強い緊張や不安から、人前での会話や発表、会議、食事の場面などを避けるようになっていませんか。
それは「社会不安障害(社交不安障害)」という心の病気かもしれません。単なる「恥ずかしがり屋」や「性格の問題」ではなく、脳の働きの偏りや過去の経験、ストレスなどが関係していると考えられています。
診断
社会不安障害の診断は、次のようなステップで行ないます。
1. 丁寧な問診とヒアリング
まずは、現在の症状やお悩みを詳しくお聞きします。
・どんな場面で緊張や不安を感じるのか
・そのとき身体にどんな反応が起こるか(動悸、震え、発汗など)
・それがいつ頃から始まったのか
・日常生活や仕事、人間関係にどのような影響があるか
といった点を、リラックスできる雰囲気の中で一緒に確認していきます。
2. 診断基準に基づいた評価
国際的な診断基準(DSM-5-TRなど)に基づき、社会不安障害に該当するかどうかを専門的に判断します。また、似た症状が見られる他の疾患(うつ病、全般性不安障害、発達障害など)との鑑別も大切です。
安心して話せる環境を大切にしています。
診断といっても、堅苦しいものではありません。心療内科は、あなたの感じているつらさや不安を理解し、寄り添うための場所です。
「こんなことを話してもいいのかな」「大げさに思われないだろうか」と迷われる方も多いですが、どうぞご安心ください。
不安を抱えることは、とても自然なことです。そして、それを言葉にすることが、回復への第一歩になります。
治療
社会不安障害は「治療できる病気」です。
社会不安障害は、適切な治療により不安を軽減し、日常生活の不自由を改善することが可能です。治療では、以下のような方法を組み合わせながら進めていきます。
・お薬によるサポート(不安を和らげる薬、抗うつ薬など)
・認知行動療法(不安の正体に向き合い、考え方や行動を少しずつ変えていく方法)
・生活リズムやストレス要因の見直し
当院では、初診時にじっくりとお話を伺い、お一人おひとりに合わせた無理のない治療プランをご提案します。
「こんなことで悩むなんて…」と、自分を責めていませんか。
社会不安障害の方は、まじめで責任感が強く、人に迷惑をかけたくないと思うあまり、自分を責めてしまう傾向があります。しかし、そのような思い込みこそが、つらさを長引かせてしまう原因になっていることもあります。
まずは、「誰かに相談してみよう」と思うその一歩が、回復への大切なスタートになります。
あなたの心に、安心を取り戻すために。
人との関わりに自信を持てるようになると、日常生活がずっと楽になり、自分らしく過ごせるようになります。「変わりたい」「楽になりたい」という気持ちがあれば、それはすでに大きな前進です。
当院では、あなたの不安に寄り添いながら、少しずつ安心を取り戻すお手伝いをします。
どうぞ、安心してご相談ください。